2018年03月15日

夜警の夜

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私 大野公平 65


元警察官


現在、警備会社に雇われております。


今は、都内のビルの警備を担当しております。


かれこれ、2年が経ちます。


警備の時間も交代制で、私は稼ぎたいから単価の良い夜警を多くしております。


家に帰っても、誰もおらず私一人ですから。


家内は10年前にガンで亡くなりまして、子供もおらず、それ以来、一人です。




夜のビルは面白いと言ってなんですけれど、人間模様がモロに見えてきます。


2年の間に飛び降り自殺は、10件くらいになりますか。


その時は、大変で朝まで寝ずに処理に追われます。




20階建てのビルですが、1階から5階までは、商業施設が入っておりまして、


朝まで営業をやっている店もあります。明けの日なんかは、ちょっと寄って朝食を作ってもらいます。たまには、昼食もテイクアウトしていきます。




6回から20階までは、オフィスビルになっており、50社くらい入れ替わり立ち代り、入っております。


栄枯盛衰は、世の常と申しますが、昨日まで景気がよかったのに今日は夜逃げしているなんて、しょっちゅうです。




最上階は、このビルのオーナーであり、貿易会社をされている、早乙女美智代様のフロアです。20階が社長室と秘書室、総務部あと18階全フロアを使っております。


M&Hトレードとか、どっかで聞いたことのあるような名前の会社です。


オーナーの早乙女さまは、まだ40代ですが、とてもお綺麗で30代にしか見えません。


まぁ人工的な部分もあるのでしょうね。大変なお金持ちでこの辺の土地は、ほとんど早乙女家のものらしいです。ご主人は、入婿で、どっかの病院をされているとか。警備に回るといつもお見えで、貿易の仕事をされていると、日本が夜でも相手の国は昼というところもございますので、大変なお仕事です。英語で会話をなされて、時々大声になっています。


そんな時は、声を掛けず、そっとドアを閉めます。機嫌のいい時などは、「付き合いなさい。」


と高級ワインを頂きながら、世間話をすることもあります。ビルのオーナーでもありますからあそこの会社はどうとか、ここの会社はどうなのとか聞かれます。長いこと夜警をやっておりますと、誰もいない時の方が、会社の雰囲気というかオーラというのが良くわかります。ですから、早乙女様には、正直に私の意見を述べさせていただきます。


それを早乙女様がお聞きになって、大変喜ばれます。




時には、喘ぎ声が聞こえてくるときもありますが、その時は黙って引き返します。




8階に入っているA商事の社長と経理課長も遅くまで仕事をされています。


部屋の雰囲気が良くないので、景気が悪いので、2重帳簿でも作っているのかなと勘ぐってしまいます。10階の小さなオフィスは、最近入られたばかりの新しい会社で、社員が5名くらいのIT企業です。全員残って朝まで仕事をやっています。生き残るのに必死なのでしょうね。寝袋もって仮眠している人もいます。火事だけは気を付けて欲しいと思います。社長は、賢そうな若者で、こんな私にでもちゃんと目を見て、「ご苦労さま」と挨拶をしてくれます。社長の態度で、この会社は大きくなるかどうか分かります。間違いなく、この会社は大きくなると思います。


「今のうちに株買っておこうかな。」




12階のB商事の営業部長も毎日、終電直前まで仕事をされてます。仕事が好きなんでしょうね。確か今年で定年ですが、モーレツ社員世代の生き残りですね。ちょっと古かったですが、わかる人にはわかると思います。今の若者は、植物みたいですからわかんねーだろうなぁと、これも古くてすみません。営業部長の熟年離婚を心配しながら、1回目の巡回の時間が来てしまいました。




(了)


Masayuki Simomura 作


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2018年03月14日のつぶやき


















posted by siimo at 16:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする