2018年03月21日

【出合い】

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逸美は、昨日彼と別れた。

一緒に暮らし始めて4年長い春だった。

出合った頃は、あんなに燃え上がったのに、最近では、喧嘩ばかり。

相手の嫌な所が目に着いて、イライラしたり、外泊するようになってきた。

彼女は、ずっとからからのプロポーズを待ち続けていた。

しかし彼は、優柔不断で、金遣いも荒く遊びも派手で、時々彼女に金も借りていた。

他に女が出来たみたい。

なんとなく分かる女の勘というやつだ。

彼に問い詰めた、最初は否定していたが、逸美のしつこい突っ込みに、とうとう白状した。

最近出来たらしい。

逸美より年下のどこかの会社の事務員をしているらしい。

彼は製薬会社のプロパーをしていて、あちこち回っている、長身で、ハンサムだから言い寄る女性もたくさんいるらしい。

しかし、彼は、仕事が長続きしない。

逸美と暮らしてから3回も職を変わっている。

それも不安だった。

別れは、彼女から切り出した。

すんなり彼も承諾し、この部屋から出て行った。

彼女は、静かに泣いた。

本当は、彼の事をいまでも愛していたから。


逸美はアパレル会社に勤めていた。

デザイナーとして円熟期を迎えようとしていた。

彼女のデザインした洋服は、けっこう評判がよく、マスコミにも取り上げられるようになってきた。

それに伴いチーフデザイナーに昇格し、仕事面では絶好調だった。

マンションも引っ越した。

4年の想いでの詰まった部屋には、住めなかった。

新しい住まいは、都内の新築マンションで高層階だった。

デザイナーらしい内装で、調度類も彼女のセンスの良さが伺える。

彼女ももう30歳になっていた。

暫くは仕事に打ち込もう。

自分の夢が叶ったのだから。

逸美はそう思った。


ある日徹夜をしてタクシーで帰った。

偶然もう一台タクシーが止まった。

中からTシャツジーパンの若い男が下りてきた。

二人は軽く挨拶をしてエレベーターに乗った。

階が同じなのである。

逸美は身構えた。「痴漢かも。」

男は、まるで彼女に関心が無いようだった。

25階のドアが開き、彼は、先に下りてすたすた歩いて行った。

彼が入ろうとした部屋は、逸美の隣の部屋だった。

逸美は慌てて声をかけた。

「はじめまして、この度隣に引っ越してまいりました。

山本逸美と申します。

何度も御挨拶に伺ったのですが、いつも御留守で、挨拶が遅れましてすみません。」

と名刺を渡した。

「ごめんね。いつも帰えるの今頃だから、上杉弘樹と申します。宜しくお願いします。」

彼も名刺をくれた。


弘樹は、部屋に入ると名刺を見て

A商事デザイン部チーフデザイナー山本逸美。へえーデザイナーなんだあの姉さん」

と言いつつ風呂に入った。


逸美は、部屋に入ると名刺を見て

「株式会社Catch The Dream 代表取締役 上杉弘樹 へえー社長なんだあの坊や」

と言いつつ風呂に入った。


ある日、取り引き先の会社のパーティがあった。

彼女も出席していた。

「山本さん」後から声が掛った。

上杉弘樹だった。

タキシード姿だったので一瞬誰かわからなかった。

意外と長身で、いい男なのだ、彼女はドキッとした。

「山本さんもこのパーティにいらっしゃってたのですか。」

「あなたこそどうして?」

「ここの社長が僕の遠縁で、僕の会社の出資者の一人なのです。」

「上杉さんの会社ってどんな会社なの」

IT関係の会社です。以前勤めていたB工業を辞めて、去年作ったのです。

スタッフ6人の小さな会社ですが、ソフトの開発 コンサルティング web制作なんでもやりますよ。」

B工業って大手じゃない」

「サラリーマンは結局、会社の歯車じゃないですか。

どこまで行っても、でも僕は自分の好きな事をやりたかったんです。

誰にも命令されず、お客様に必要とされる会社をつくりたかったんです。

だから社名もCatch The Dreamにしたんです。」


「お幾つですか」

「僕ですか。今年で26になります。」

彼女は、どんどん彼に惹かれていくのが分かった。

胸がときめいていた。

彼はいつまでも自分の夢を語っていた。

逸美は、弘樹の話に引き込まれていった。


(了)


Masayuki Simomura 作

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2018年03月20日のつぶやき


























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